クリンペライ



次の日もしみこちゃんときはぽは、夕刻の流れる車を眺めていた。
ねこはいい、どんなに破茶滅茶な奴でもこういう時を持つから。
人もそういう人が好きで。
夕日が落ちるのをずっと眺めている人をずっと眺めていた、うれしくて。

哀しくなりたくないのだ、だからいいものを見たい。

そして、意図した。意図することが全て。

クリンペライ。
生きてきてこれまで一度も発したことのない文字の並び。
ピアノを少しだけ弾ける者の意。
どれだけ聴いても拾い終わらない音の世界!

音楽とは猫以上に個人的なもので、誰かの文章で読んでいるうちが花で、
実際好みのものに当たることはそうそうない。

ところが時に当たることがあるのよね、だから楽しいの。

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