2022/07/26

気配



はみたちとは一度もことばを交わしていない。
ことばいらないな、というのを超えている。

何かを否定した上に成り立つような、そんなちゃちなものではなかった。
手段は星の数ほどあるってこと。

今世の家族総出で、夕刻に連れ立って歩いて出掛けるのがとても好き。
前後しながら、みんなの気配を感じて歩いている。
みんなもきっとそう。

しみこちゃんに赤のゴム手袋とブロッコリーのアミューズ。
アミューズ、大好物を少しずつ盛り合わせたもの。

ためていた毛玉がついに完成してお披露目。
いきなり現れた、見たこともないくらいの大玉。
まず、これまでにないくらいに転がる。
これまでが転がしていたなら、これは、転がる。そして弾む。
しみこちゃんのわくわくが止まらなくて、永遠にあそんでいる。

帰りの車の中で、私が眠っていると思ってあの人が頭をぽん、とした。
その時流れていた音楽は。

2022/07/22

バーベリンのデコレーション



バナナケーキはバーベリンのレシピで。


ミシンをかけている時、何か陶芸みたいだねと言われる。
つまりは瞑想的だと言っていた。
ほんの6,70cmを走る間に。


はみは自力でカウンターに上れない。
おもしろがって時々カウンターに乗せてやるとそのまましばらく忘れてしまって、
ふと気づいた時、そのままになっていたりする。

服の着方、部屋のデコレーション、夢見がちな脳内。
奇天烈さはあるけれど、でも規模でかわいくしている。

どんどん進む。

2022/07/21

塩の芸術



2時間くらい、心から都市を楽しんだ。
都市もいいよね。
洗練されたものにはうれしくなる。
中途半端な都市と、中途半端な田舎にはかなしくなるから。
要は、本物しか、ってことなんだけれど。
本物の都市と本物の田舎が、本当に好き。

 ・

帰宅するとはみが廊下をすべりながら駆け寄ってきて、
ごはんをあげると一心不乱に食べて、涙が出そうだった。


しみこちゃんがちょうどこちらを向いている時、
大口開けてあくびをするその途中まであくびだとわからなくて、
しみこちゃんが真っ赤な口を開けて笑ったように見えた。
そういうところがある、しみこちゃんは。


バッハをかけると、それまで走り回っていた3匹からきはぽだけ、
音源に一番近いアイロン台の上に陣取って、
うっとり聴き入り始めたと思ったらそのうち眠り始めた。
全くバッハなんだか、きはぽなんだか。
とにかくバッハなら、イカ耳にならないでうっとりしていた。


いつもの塩のカードが落ちた。


2022/07/04

実存の生き物


あなたの詩って絶対適当ですよねと言ってくれる稀有な人が現れて、
私はよろこんだ。
勝手に深い、意味深だといって掘り下げられるよりよっぽど!

あまり具体的にさよならだとかいわない人。

情報量の少ない順に、想像<絵<文章<音楽<写真<映画<実存の人?

ちょうどいいただ一点を狙ってできるか?
それ以外の全てがちょうどよくないになる。

リクエストで作ったおっとせいをまだ知らなくて、
首をひとひねりしてから自分で四つ足の生き物に作り変えて生きている。

2022/06/27

今最高峰



自分の食べたいものを自分で作る、その作業がおもしろい、って言っていた。
20代の男の子。


冷蔵庫の中身と相談して殺風景な部屋で手際よく作っていく。
人参の皮はむかない。1時間の休憩を圧迫してしまうから。
炊き上がったごはんと野菜とそば、薄い卵焼きとでオムそばめしのできあがり。
一人の部屋で小さく食べながら、うん、おいしい、と言って上のセリフ。

 ・

連日の雨から夕方に少し明るくなったから、お茶を持ってデッキへ出て、
まぶしさに緑に触れるふりしてかがんでお茶飲みながら見上げた空!
途中からしみこちゃんもやってきて、二人でほうっとしている。

「髪型に驚いた!おだんご風に丸まったかたまりがおでこにきてた。
まるでちっちゃな帽子を付けているみたい!ちっちゃな人」。

母の描写力が最高峰に今達した!と思ってメモを取ったんだけれど、
今読み返すと何を言っているのか全くわからない。

2022/06/23

2022/06/16

フェリックスとローラ


家が残るということ。


父が素敵なニットを着ていたから、それはずっと持っているもの?と聞くと、
ああ、これはネットで、と言ったのがおかしかった。
最近はネットでいろいろ買っているよ、と付け加えたのも。


パトリス・ルコント。


男性像も女性像も好き。
夢見がちに見えて、実は誰一人取り乱すほどではないところとか、
女性はいつも儚く消えてなくなりそうなのに、誠意あるところとか。
飛びながら、でも安心していられる。
必要以上のノスタルジーに駆られることはない。


フェリックスとローラ。


3組の目がこちらを見ている。
明らかにいい日だとわかるような一日の始まり。
 

名前をやたら呼んでくれる人が好き。


郵便局にて、知らない人がおすすめしてくれた切手を買う。
「これがいいですよ、切手趣味週間。マニアには人気が高いですよ」
と熱くすすめてくれた。
途中一瞬、夜景特集の切手が目に入ったらしく横道に逸れて、
「あ、これもいいですよ」
と言ったいい加減さが最終的には決め手となって、
「じゃあこれにしようかな、これください」
と切手趣味週間を買うことにする。
最初からずっと私たちのやりとりを見ていた局員さんは失笑気味に、
「シールのもありますよ、これでいいですか?」
と言ったけれど、これがいいんだよ。シールのにシールだからって価値はないの。
私が終始おもしろがっていたことに気付いてほしい。

2022/06/15

ピアノ、くるみ、ロバ


ピアノ曲だけで構成されたプレイリスト。


くるみのクッキー。


靴下を履く私の側でうろうろしているものだから、
ふとしみこちゃんの背中に靴下をかけてみる。
すると、気にも留めずにそのまま歩き続けているので、靴下をさらに増やしてみる。
2,3,4,5枚。
しみこちゃんはロバみたいに、構わず歩き続ける。

しみこちゃんはブロッコリーが大好き。
ブロッコリーの季節は、ある限りのブロッコリーをしみこちゃんに捧げる。

インテリアのことをするのはほっとするね。
身体のことをするみたいに、インテリアのことはする。

2022/06/14

会うなら


歓喜の踊りを見ているだけで、胸がいっぱい。


会うならお茶していたいな、映画は一人で観るわ。
お店も一人で見ます。

引くことだけを考えているくらいでちょうどいい。
いつだって過剰でしょう。

 ・

今日は雨だから、眠り続ける。

音を出せば音楽。

2022/06/13

花のセット

 


動いているのが一番素敵。


目がふざけていないで、本気で服を買う。
有耶無耶にしてしまわない、理由付けしたりしないで、感動をそのままに買う。
似合うからで服は買わない。何が似合うかもわかってはいるけれど。
感動があるほうを買う。


私のこと、そんなに知らないんだな。


複雑なことに対応できなくなっている。
アナスタシアを知っていたから、この状態を明文化できてよかった。


花のレターセット、シール、ハイジの切手。
きんかんの木。


これからはもう、人には話さないことにする。

2022/06/10

桃のはな



これを見逃して生きるなんて!


マンションの高層階で毎日起こっていることのどこが不自然だと言える?
その部屋で人々が息づくこと、猫たちが季節を感じて移ろっていくこと。


田んぼ沿いの無人販売所でいいお店がある。
おだんごや野菜、
この日はおいものおだんご2パック、大根数本、柑橘数袋、
がほとんど100円で並んでいた。    
陳列物にもわくわくするけれど、販売所の店構えにもびっくり。
料金箱には店舗の窓と同じガラスが切り出してはめこんであり、
縦横の辺も一辺たりとも合っていない。
雰囲気でまとめあげ、かたまりにしている。
販売所自体も、そんな料金箱をそのまま拡大したような構え。
近所ではこの販売所が話の種になっていて、
今日は何が出ていたよとか、あの人の作った何はおいしいねとか。


共感しかできることはないのかもしれなく。


桃のはな。天体の動き。


お返事は要らないと感じて、それ以降書かない。
お手紙にはやりとりが必要な時がある。人生の今必要みたいな。
それが一旦終了したら、今期は果たしたと思ってやめる。
それでまたいつか、いきなり書き始める。


どれだけ自意識過剰に生きてもいいよという赦し!