世界9月

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山に登るワークアウトを続ける。

山の入り口で、身体に沿わないカポカポのスーツを着けた植物学者風の男に、
「こんにちは。この辺りはすみれがいっぱい咲いているよ」
と話しかけられる。

なんてきれいな台詞。
ああ、もう、胸をいっぱいにして歩くけれど、
この日はこれだけではなかった。

次に現れたのは、
少女とそのおじいちゃんに当たる頃合いの男だった。
血の繋がりがありそうにもなさそうにも見える、
不思議な距離感の二人だった。

手をひかれて歩きながら、女の子は言う。
「私、名前はふたつしか知っていないの。
ひとつはももじり」。


みんな自由に生きて、好きなきれいなことばを遣う。
見るならうつくしすぎる世界。


9月は新作を出しますね。

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