ある瞬間、ばくちゃんがふっと吹っ切れて、いきなり駆け出した。そこが夏の始まりだった。緩い坂道を子ども同士、手に手を取り合い、大人たちを忘れて、2人で滝にかかる虹を見た。
世界に急速に開き始めている三歳児とすごす夏は、虫と水とに支配されている。一度引き揚げた夏だったけれど、滞在していた田舎の家に舞い戻ってきて今、夏の2期目を過ごしている。今が時、ってことがあるんだよね。
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